カルシウムが不足すると骨粗しょう症、神経過敏などになります。カルシウムの適度な摂取を心がけましょう。単一ミネラルだけ撮るのではなく、バランスが大切

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ミネラルは酵素に関与

人間の体には必要不可欠な栄養素が五種あり(五大栄養素)、そのうち一つがミネラルと呼ばれる無機質です。体内では合成されませんので食事から摂取する必要があります。

ミネラルの機能は生体内での酸化・還元反応を触媒する酵素や補酵素の構成成分として、その活性中心に存在するもの、また酵素や補酵素の構成成分ではないけれども、それらが正常な作用を営むように側面から働きかける、潤滑油のようなものなどがあります。
従ってミネラルはエネルギー源にはなりません。生体が健やかに生きていく上で、無くてはならないものが必須栄養素です。必須であるものが不足すると代謝不全などを招き、消化、吸収、排泄系器官に障害があらわれ、病気になります。

しかし、必須栄養素であっても、摂りすぎると有害になるものもありますので注意しなければなりません。生体は多種類の元素から成り立っています。常量元素または多量元素と言われる比較的量の多いものと、微量元素と言われる量の少ないものに分けられます。

現在、人間にとって必須とされている元素は11種類の常量元素(酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム)と9種の微量元素(鉄、セレン、ヨウ素、モリブデン、クロム、コバルト等)の20種です。この他に動物で必須と認められている元素が6種あり、この中には人間にとっても必須である可能性が示唆されているものもあります。

最近、ミネラル不足が指摘されますが、その原因は複雑です。摂取量の絶対量は充分でも何かの要因で吸収が阻害されているのか、大きく二通りが考えられます。例えば、人の亜鉛欠乏症は1962年に地中海沿岸で発見されました。

いわゆる小人症です。地域住民の食生活調査からは亜鉛の摂取量不足はなかったのですが、結局、主食である小麦中のフィチン酸が亜鉛とキレート化合物を形成し、亜鉛は吸収されず、素通りして排泄されてしまっていたのです。このように食べ物の中に共存するものが、栄養素の吸収に大きく影響します。

亜鉛欠乏症に関しては、日大名誉教授の宮田寛先生の発表によると、最近、味覚外来受診者が増加傾向にあり、亜鉛投与で約六割が改善するとされています。原因は刺激性の強い味付け、薬の副作用、加工食品中の保存料、防腐剤などがミネラルの吸収抑制に繁がっていると考えられます。

食品添加物として許可されているものの中にはクエン酸、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウムのように、金属元素とキレー卜化合物を作るものがかなりあります。日本人の栄養所容量の中の無機質所容量は成人一日当たりカルシウム0.6g、鉄12mg(男性10mg)とされています。

その他、目標摂取量として食塩10g以下、リン0.6g、カリウム4g、マグネシウム0.3g、所容量も目標摂取量も示されていませんが亜鉛10mg、銅2mg、ヨウ素0.1mg以上が適当量と考えられています。

アメリカ合衆国の無機質所容量はカルシウム、リン、マグネシウム、鉄、ヨウ素、フッ素、亜鉛、銅、クロム、マンガン、セレン、モリブデンと多種類の元素について定められています。国土が広いので、食品の産地による違いが大きいこともあるからでしょう。必須ミネラルの中でマグネシウムとカリウムが突然死と関係があることが解りました。

ここ5年間タイとの共同で続けてきた研究結果から解ってきたことです。タイ東北部は岩塩地帯で農業は適さず、これといった産業もありません。若い男性はシンガポール、サウジアラビア、ブルネイ、台湾などに出稼ぎに行きます。そして出稼ぎ先で突然。死を起こす例が多いのです。在シンガポール・タイ大使館には年間60~80人のタイ人労働者が就寝中に死亡したというデータがあります。その人達の出身地は約9割が東北タイです。

この地方では国内でも突然死はあり、外国で起きるより頻度は低いのですが、犠牲者は全て男性です。その原因究明の一環として、食習慣、食事、水、土壌などの環境試料、地域住民の血液と尿などを分析し、マグネシウムとカリウムの欠乏を疑いました。そこで、帰国後、マウスに低マグネシウム・低カリウムの食餌を与えたところ、雄ネズミは一週間で全部死亡してしまいましたが、雌ネズミは全て生存という結果を得ました。

そこで、雄雌共に性器を手術で摘出し、前記と同様の餌を与えたところ、性差はありませんでした。従って、女性ホルモンが突然死抑制に関与している可能性があります。日本をはじめ、多くの国の平均寿命は男性より女性が長命ですが、ひょっとすると同じ理由によるのかもしれません。国外で突然死が多い理由はストレス、過労が関係していると思われます。

過労死と突然死は共通部分があります。マグネシウムの関与もその一つです。マグネシウムはビタミンB群とともに糖質、蛋白質の代謝を促進し、心臓の筋肉の働きを良くし、血圧や体温を調節する働きもあります。不足すると倦怠感、不整脈、けいれん、記憶障害、いらいら、狭心症などを起こしやすくなります。

慢性化する高血圧症、糖尿病、虚血性心疾患、脳血管障害などを誘発しかねません。必須微量元素であるミネラルの欠乏は生殖能にも関係します。亜鉛は前立線に多く存在し、精子の運動能と関係があることが知られています。また、精子数とセレン濃度は正相関し、セレンは造精能と関係します。セレンは免疫能を高め、発ガン抑制効果があるといわれます。

その理由は国単位でみて血清セレン濃度の高い日本、タイ、台湾、フィリピンなどでは乳ガン死亡率が低く、血清セレン濃度の低いニュージーランド、イギリス、アイルランドなどでは乳ガン死亡率が高いことからです。セレンは肉、魚介類、茸類、大豆、野菜ではにんにく、玉ねぎに多く含有されています。また、日本は比較的セレンの高い土壌です。普通に生活している日本人にはセレン欠乏症はありません。

生命の営みには何百種類の酵素が関与していますが、そのうちの約200は亜鉛酵素であることが知られています。生体内で生じる活性酵素の消去に関与する酵素、スーパーオキジディスムターゼは生活習慣の予防、老化防止の観点からも重要視されています。この酵素は亜鉛、銅、マンガンを含有しています。このようにミネラルは微量であっても健康の保持には欠かせない重要なものです。

                    平成10年5月21日(木曜日) 健康産業新聞 掲載記事より
順天堂大学・千葉百子助教授談

 

ミネラルは酵素に関与
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ミネラルは酵素に関与

人間の体には必要不可欠な栄養素が五種あり(五大栄養素)、そのうち一つがミネラルと呼ばれる無機質です。体内では合成されませんので食事から摂取する必要があります。

ミネラルの機能は生体内での酸化・還元反応を触媒する酵素や補酵素の構成成分として、その活性中心に存在するもの、また酵素や補酵素の構成成分ではないけれども、それらが正常な作用を営むように側面から働きかける、潤滑油のようなものなどがあります。

従ってミネラルはエネルギー源にはなりません。生体が健やかに生きていく上で、無くてはならないものが必須栄養素です。必須であるものが不足すると代謝不全などを招き、消化、吸収、排泄系器官に障害があらわれ、病気になります。

しかし、必須栄養素であっても、摂りすぎると有害になるものもありますので注意しなければなりません。生体は多種類の元素から成り立っています。常量元素または多量元素と言われる比較的量の多いものと、微量元素と言われる量の少ないものに分けられます。

現在、人間にとって必須とされている元素は11種類の常量元素(酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム)と9種の微量元素(鉄、セレン、ヨウ素、モリブデン、クロム、コバルト等)の20種です。この他に動物で必須と認められている元素が6種あり、この中には人間にとっても必須である可能性が示唆されているものもあります。

最近、ミネラル不足が指摘されますが、その原因は複雑です。摂取量の絶対量は充分でも何かの要因で吸収が阻害されているのか、大きく二通りが考えられます。例えば、人の亜鉛欠乏症は1962年に地中海沿岸で発見されました。

いわゆる小人症です。地域住民の食生活調査からは亜鉛の摂取量不足はなかったのですが、結局、主食である小麦中のフィチン酸が亜鉛とキレート化合物を形成し、亜鉛は吸収されず、素通りして排泄されてしまっていたのです。このように食べ物の中に共存するものが、栄養素の吸収に大きく影響します。

亜鉛欠乏症に関しては、日大名誉教授の宮田寛先生の発表によると、最近、味覚外来受診者が増加傾向にあり、亜鉛投与で約六割が改善するとされています。原因は刺激性の強い味付け、薬の副作用、加工食品中の保存料、防腐剤などがミネラルの吸収抑制に繁がっていると考えられます。

食品添加物として許可されているものの中にはクエン酸、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウムのように、金属元素とキレー卜化合物を作るものがかなりあります。日本人の栄養所容量の中の無機質所容量は成人一日当たりカルシウム0.6g、鉄12mg(男性10mg)とされています。

その他、目標摂取量として食塩10g以下、リン0.6g、カリウム4g、マグネシウム0.3g、所容量も目標摂取量も示されていませんが亜鉛10mg、銅2mg、ヨウ素0.1mg以上が適当量と考えられています。

アメリカ合衆国の無機質所容量はカルシウム、リン、マグネシウム、鉄、ヨウ素、フッ素、亜鉛、銅、クロム、マンガン、セレン、モリブデンと多種類の元素について定められています。国土が広いので、食品の産地による違いが大きいこともあるからでしょう。必須ミネラルの中でマグネシウムとカリウムが突然死と関係があることが解りました。

ここ5年間タイとの共同で続けてきた研究結果から解ってきたことです。タイ東北部は岩塩地帯で農業は適さず、これといった産業もありません。若い男性はシンガポール、サウジアラビア、ブルネイ、台湾などに出稼ぎに行きます。そして出稼ぎ先で突然。死を起こす例が多いのです。在シンガポール・タイ大使館には年間60~80人のタイ人労働者が就寝中に死亡したというデータがあります。その人達の出身地は約9割が東北タイです。

この地方では国内でも突然死はあり、外国で起きるより頻度は低いのですが、犠牲者は全て男性です。その原因究明の一環として、食習慣、食事、水、土壌などの環境試料、地域住民の血液と尿などを分析し、マグネシウムとカリウムの欠乏を疑いました。そこで、帰国後、マウスに低マグネシウム・低カリウムの食餌を与えたところ、雄ネズミは一週間で全部死亡してしまいましたが、雌ネズミは全て生存という結果を得ました。

そこで、雄雌共に性器を手術で摘出し、前記と同様の餌を与えたところ、性差はありませんでした。従って、女性ホルモンが突然死抑制に関与している可能性があります。日本をはじめ、多くの国の平均寿命は男性より女性が長命ですが、ひょっとすると同じ理由によるのかもしれません。国外で突然死が多い理由はストレス、過労が関係していると思われます。

過労死と突然死は共通部分があります。マグネシウムの関与もその一つです。マグネシウムはビタミンB群とともに糖質、蛋白質の代謝を促進し、心臓の筋肉の働きを良くし、血圧や体温を調節する働きもあります。不足すると倦怠感、不整脈、けいれん、記憶障害、いらいら、狭心症などを起こしやすくなります。

慢性化する高血圧症、糖尿病、虚血性心疾患、脳血管障害などを誘発しかねません。必須微量元素であるミネラルの欠乏は生殖能にも関係します。亜鉛は前立線に多く存在し、精子の運動能と関係があることが知られています。また、精子数とセレン濃度は正相関し、セレンは造精能と関係します。セレンは免疫能を高め、発ガン抑制効果があるといわれます。

その理由は国単位でみて血清セレン濃度の高い日本、タイ、台湾、フィリピンなどでは乳ガン死亡率が低く、血清セレン濃度の低いニュージーランド、イギリス、アイルランドなどでは乳ガン死亡率が高いことからです。セレンは肉、魚介類、茸類、大豆、野菜ではにんにく、玉ねぎに多く含有されています。また、日本は比較的セレンの高い土壌です。普通に生活している日本人にはセレン欠乏症はありません。

生命の営みには何百種類の酵素が関与していますが、そのうちの約200は亜鉛酵素であることが知られています。生体内で生じる活性酵素の消去に関与する酵素、スーパーオキジディスムターゼは生活習慣の予防、老化防止の観点からも重要視されています。この酵素は亜鉛、銅、マンガンを含有しています。このようにミネラルは微量であっても健康の保持には欠かせない重要なものです。

                       平成10年5月21日(木曜日) 健康産業新聞 掲載記事より
                                      順天堂大学・千葉百子助教授談

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